住民の苦情がある前に、不具合に対応できるようになった。
夜間・休日対応の負担が減った。
システム導入の背景 ~年々大きくなる負担~

富山県 新川土木センター
工務第一課 道路維持班 係長
戸田 雅之 様
富山県では、冬期間の安全で円滑な道路交通の確保を目的として、道路に消雪施設を設置し、地下水を汲み上げ散水し、人工的に雪を溶かしています。 消雪施設は、冬期間において夜間・休日問わずに運用されています。 消雪施設担当者は、夜間や休日においても、施設運転状況を正確に把握し、異常発生時には迅速な対応が求められます。対応が遅れれば、苦情の殺到や交通事故につながるため、大きな責任と負担を負っています。消雪施設管理業務をとりまく状況を鑑みると、業務遂行における負担は年々更に大きくなる傾向にあります。
消雪施設管理業務をとりまく状況


故障の増加
県内の消雪施設は昭和40年代後半~昭和60年代にかけて建設した施設が多く老朽化が進んでいる。施設の更新や修繕を進めているが、予算が 減少傾向にある中、修繕が追いつかず、故障の発生は増加傾向にある。
迅速さの要求
故障発生が増加している中、住民や通行者からの通報や苦情も増えている。特に近年では、何か異常があるとすぐに通行者から携帯電話で通報がはいる場合も増えており、より迅速な対応が要求されている。
職員数の減少
人員削減にともない、各業務の一人あたりの負担が増えている。消雪施設担当者以外の職員は自身の担当業務に追われ、担当外の業務について把握する余裕がない。そのため、消雪施設担当者は管理業務を一手に担うこととなっている。
導入前の課題 ~時間がかかる運転状況の把握~
現場駆け付けに時間がかかる
- 「現場に駆け付けないと、消雪施設の運転状況を把握出来なかった。重要地点については朝に1度パトロールを行っているが、それ以外の地点については、住民や通行者の苦情があってから、現場に駆け付けて状況を把握していた。現場に駆け付けてから初めて判断・対応できるため、時間を要した。同様に、消雪施設を手動で制御するには、現場に駆けつける必要があり、対応に時間を要した。」(戸田氏)
夜間・休日など休暇中の負担が大きい
- 「大雪が予想される場合は、夜間や休日においても、土木センターに職員が待機する体制をとっている。当直には普段は消雪施設管理業務に従事していない職員も担当するが、専門外の職員だけでは異常発生時には対応しきれずに、消雪施設担当者に判断を仰ぐことがしばしばある。消雪施設担当者は判断を行う前に、現在状況の把握が必要だが、当直職員との電話だけで現在の状況を把握することが困難で、非常に時間を要していた。結果として対応が遅れて、住民の苦情につながっていた。また休日や夜間などの時間外において、長時間対応しなければならないことで、職員の負担も大きかった。」(戸田氏)
導入効果 ~ひと目で状況把握。苦情・負担減~
苦情件数が減った
- 「これまでは住民の苦情があってから異常が分かることが多かったが、システムを導入してからは、住民から苦情がくる前に異常を検知でき、迅速に対応できるようになった。結果として、遠隔化している地域の苦情件数が減っており、遠隔化していない地域と比べても差が明確である。」(戸田氏)
ひと目で状況を把握し、迅速に判断できるようになった
職員の負担を軽減できた
- 「これまでは当直職員が電話で消雪施設担当者に現場状況の説明を行っていたが、専門外の人が当直する場面も多く、情報共有に時間がかかっていた。夜間・休日に長時間対応が必要で、負担になっていた。システムを導入してからは、自宅や外出先からシステム上で現場状況が把握でき、すぐに情報共有ができるようになった。結果的に、判断を下すまでのスピードが早くなり、より安全な道路交通を維持できている。夜間・休日における職員の負担も減った。」(戸田氏)